妊娠中は数カ月、数週間おきに身体の形状が変化し、妊娠後期は毎日に体感できるほどお腹が大きくなってきます。
急速な身体の変化にあわせて、衣類を選んでいく必要がありますが、妊娠期は体調もアップダウンがあるので予想が立てにくいもの。
具体的にどのようにして、妊娠期の服装を選べばよいか、具体的なポイントと注意点についてご紹介します。
妊娠初期~後期の服について
妊娠期間中は、常に体調や身体の形状が変化し続けます。
変化に合わせて妊婦服をうまく取り入れていくことが必要ですが、その変化はママの元々の体形体質、初産か二人目以降の出産か、出産予定の季節によって個人差があり、マニュアル通りにはいかないものです。
妊娠期は、大きく初期、中期、後期に分けられ、それぞれの体調体形の変化にあった服装についてご説明していきましょう。
妊娠初期(1~4カ月)
妊娠3カ月(妊娠8~11週)は、つわりのピーク時になります。
ママの体形に大きな変化は見えないので、普段通りで問題ないですが、お腹のハリ感などがでたりする時期でもあるので、普段よりゆったりとした服装を心がけましょう。
体調の変化はありますが、お腹の膨らみなど目に見えた変化は出にくいので、この時期のためにあえてマタニティ用の衣類を用意する必要はないかと思います。
ただし、精神的にも気分が落ち込みやすく、イライラする時期なので、なるべくリラックスして過ごせるように衣服を選ぶとよいでしょう。
つわりによるだるさや嫌悪感で体調が優れず下着の締め付けが気になる場合は、ワイヤー付きの通常の下着から、カップ付きタンクトップや授乳できるゆったりタイプの下着などに切り替えてもいいかもしれません。
妊娠中期(5~7カ月)
妊娠5カ月(妊娠16~19週)ごろになると胎盤が完成し、安定期に突入します。
身体の中ではホルモンの影響で皮下組織に水分を溜め込みやすくなるので、下半身がむくみやすくなります。
お腹も緩やかに膨らみ始め、重みも感じてくるので、締め付けの少ない服やマタニティ用の衣服を取り入れ始めましょう。
お腹が大きくなってくるこの時期に持っていて重宝するのが、マタニティ用パンツ(ズボン)です。
縦横にしっかりと伸びるジャージ素材などは、シルエットもすっきりしていて綺麗なので、カジュアルにもオフィスシーンにも着回しできます。
マタニティ用パンツは、お腹が大きくなってきても着用できるようにウエスト・お腹周りの調節機能がついているものも多いので、妊娠後期まで使える便利アイテムです。
実は、出産直後は骨盤も広がっていて、すぐに妊娠前の体形に戻るわけではないので意外と育児期間も使えます。
妊娠後期(8~10カ月)
お腹の膨らみもだいぶ目立つようになります。
この頃から、足元が見えにくくなるお腹は大きくなり、身体の負担もピークになってきます。日々お腹の大きさが変わるので、体形が変わっても着られる衣服を持っていると便利です。
例えば、胸下をゴムで切り返していたり、前開きタイプのワンピースは着脱も楽で本当に重宝します。
ふんわりとしたシルエットのワンピースは、お腹の大きさを隠してくれるので、妊娠中でもファッションを楽しみたい人にもオススメです。
また後期に入ってくると、通常のショーツがきつくなってくるはずなので下着はお腹まですっぽり収まるマタニティショーツに切り替えるタイミングになります。
靴選び
妊娠中の靴はフラットシューズなど歩きやすく滑りにくい靴が良いですが、低いヒールのある靴が楽な場合もあるので、自分に合うものを選ぶとよいでしょう。
ペタンコ靴は重心が身体の後ろ側に集中し、後ろにひっくり返らないように、お腹を庇うために前屈みになろうとして、腰に負担がかかる場合もあります。
相性や体質もあるので、低くめのヒール靴は柔軟に取り入れてもよいかと思います。低いヒールの靴を履く場合は、中底に厚みやクッションがあるものがよいでしょう。
妊娠中は下半身が普段より浮腫みやすくなるため、普段より大きめのサイズで中底を利用して隙間調整するとよいです。
スニーカーなどの運動靴も同様に靴底にクッション性のあるもので、浮腫みを考慮して選ぶと足への負担が軽減されます。
妊婦検診での服装
妊娠期間中、定期的に行われる妊婦検診の際も、服装選びは注意しましょう。
妊婦検診はエコーと検診では内診があるのですが、スカートをオススメします。エコーの時はスカートのウエスト少しずらせばお腹も出せるし、内診の時は下着だけ脱げば診察台に座れるので便利です。
パンツスタイルの場合、診察前に着脱に時間がかかったり、妊娠後期になると着脱のために前屈みが大変になったりします。
スカートの場合は、冷え対策に靴下やレギンスを組み合わせましょう。
妊娠期間中の冷えとほてり対策
妊婦に冷えは大敵です。冷え対策は万全にしておきましょう。
お腹周りは、腰回りも含めて衣類との間に隙間ができやすく冷えやすいので腹帯や妊婦帯を活用するとよいです。またレッグアイテムや靴下、レギンスなどを組み合わせて下半身を冷えから守りましょう。
ただし「妊娠中は身体を冷やさないように」と言いますが、妊婦だって夏場は普通に暑いです。
妊娠によりホルモンバランスが変化することで体温調節がうまくできなくなったり、血行が悪くなったりして冷えの要因は増えますが、逆に基礎代謝が上がり逆に熱がこもりやくなったりするので、のぼせや熱中症には注意が必要です。
体調に合わせた防寒・ほてり対策を行いましょう。
マタニティウェアを選ぶ際の注意点
妊娠は病気ではないですが、いつもとは異なる特別な健康状態になります。
普段しているようなことでも、妊娠期間中は身体に負担になり、母子に重大な影響を与える可能性もあるので注意が必要です。
血流や体調の変化に注意
妊娠期間中は血行不良になりやすく、長時間締め付けや圧迫が続く態勢は子宮収縮を招く可能性があります。
血行不良は体調以外にも腹痛や転倒などに繋がることもあるので防寒用で着用していたレギンス、靴下、下着、腹巻などが、下半身(ウエスト、足の付け根、足首等)の血流を圧迫しないように注意しましょう。
出典:厚生労働省委託 母性健康管理サイト(妊娠中の身体の変化と対応ポイント)
妊娠期の足腰への負担
日本助産師学会の調査によると約7割の妊婦が妊娠末期までに腰痛を発症するというデータもあり、子宮が重たくなることで足腰に負担が生じます。
衣服は、締め付けや体重のバランスが崩れて腹部を圧迫しないように、無理のない正しい態勢が保てるものはもちろん着脱も楽なものを選びましょう。
着脱時に背中を丸めて前屈みの態勢になるパンツスタイルやチャックやひもで調節する靴やブーツ、サンダルなどは、一瞬の動作とはいえかなり子宮に圧力がかかるので妊娠後期は避けてもいいかもしれません。
参考文献:日本助産師学会誌31巻1号(2017)妊娠期の体重増加と腰痛発症時期との関連及び対処法
マタニティウェアの買い替えタイミング
妊娠中の身体の変化は急速で先週着られていた服が、突然に着れなくなるということもよく起きるので、買い替えや用意が頻繁に起こります。
ただ、マタニティウェアのサイズやアイテムの買い替えタイミングは、妊娠の進行具合、ママの元々の体形が影響するので周期によるサイズの示唆には個人差があり難しいです。
そのため、季節や気候の変化をみて衣替えと同じタイミングで行うとよいでしょう。
衣替えのタイミングで、その時の体形と妊娠周期を考慮した妊娠服選びをすると身体にもお財布にも負担が少なそうです。
参考文献:妊婦体型の妊娠経過に伴う変化
妊婦体形に対しての悩み
妊娠は喜ばしいことなはずなのに、自分の妊婦体形を受け止められないという人もいるのではないでしょうか。
富山医科薬科大学看護学会は発表した「妊婦の不安に関する研究」で「妊婦のお腹の大きな姿を見られたくない」という心理が妊娠後期になると上昇するという研究結果は発表されおり、多くの妊婦の女性が妊婦体形を恥ずかしいと感じているようです。
妊娠中は気持ちも不安定になるし、これから始まる子育てへの不安も重なって、ネガティブになってしまうのは決して特別なことではありません。
妊娠は永遠に続くものではないので、妊婦体形も一時的なもの。
この時期だから楽しめるファッションや赤ちゃんの鼓動を堪能しながら心と身体に無理のない生活を心がけましょう。
妊婦におすすめ!おしゃれなマタニティ服・パンツ
zootie(楽ちんマタニティエアパンツ)
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お腹の膨らみを支えるストレッチとウエスト調整で、お腹周りをサポートしてくれるマタニティパンツ。
SWEET MOMMY (産前産後兼用 マタニティウェア)
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暖かみのあるウール調素材でウエスト調整機能が産前産後をカバーしてくれます。シルエットが綺麗なワイドパンツ。
とろみ光沢生地 2WAYロングシャツワンピース
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前開きのブラウスタイプのワンピースは授乳期にも使えるし、清潔感のあるオフホワイトのシャツは色々なシーンで使えるベンチアイテム。
ワンピース ハーフスリーブティアードワンピース
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Vネックで胸元もすっきり見え、ふんわりと広がるAラインのシルエットは、体形をカバーしてくれます。
INUJIRUSHI(マタニティパンツ)
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ママの強い味方西松屋のマタニティパンツで、ストレッチがきいていて、産前産後に使えるように開発されています。
マタニティショーツ レディース
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U字でお腹を囲うことで、圧力を分散させることでお腹の出っ張りを締め付けません。
マタニティタックパンツ
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収縮性があり、さらりとした質感とシルエットでオフィスシーンでも活用できるアイテム。
アスペルシオ(長袖膝丈 スキッパー ワンピース)
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清涼感のあるミニ丈シャツワンピースですっぽりかぶるタイプで着脱も楽チン。
マタニティ ドレス フォーマル ワンピース
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結婚式やパーティーなどフォーマルなシーンで着られる授乳口付きのワンピースドレス。
花柄ワンピース ドレス
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しっかりした上質ケミカルレースを使い、上位感UP!360度高感度を与えられるオシャレなデザインが大人気!ゆったり体型の方にもおすすめできる身幅ゆったりタイプも揃えています。
ワンピース ジャンパースカート
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深めのVラインがトレンド感バツグン!フェミニンな要素をたっぷり盛り込んだシンプルで着まわしの効く1枚。インナーにハイネックや薄手ニット、季節が進んだらノースリーブやTシャツを合わせるのがオススメです。
INUJIRUSHI(マタニティレギンス 産前産後らくちんパンツ10分丈)
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お腹が大きくなってきても収縮性のある素材で締め付けず、産後はお腹部分を折り返してサイズ調節ができるレギンス。
すごのび「2wayマキシスカート」
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丈感やデザインを自在に調整できるので産前産後も着まわせるタイプ。フワリとしたシルエットは品がありボディラインをカバーしてくれます。
ヴィンテージウォッシュ加工 ロング丈デニムコート
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ヴィンテージウォッシュ加工でシンプルなデザインのゆったりとしたデニムコート。
マタニティ80デニールレギンス10分丈
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靴下屋が展開する10分丈レギンスで前後にマチがついているので、お腹・ヒップの締め付けないようにゆったりします
まとめ
妊娠期間の正しい過ごし方は、ママの体質、環境、赤ちゃんの発育状態なども影響するので正解がありません。
もちろん妊婦服にも正解はなく、マニュアル通りにいかないことも多々あることでしょう。妊婦期は日々感じる身体の変化を正確に感じ取り、自分にあったスタイルを都度取り入れていくことが大切です。
ママが苦しいということは、赤ちゃんも苦しいということ。
無理せず、楽しく妊娠服を取り入れましょう。
バースコンサルタント・専門家からのコメント
古市 菜緒(Nao Furuichi)
『経歴』
1万件以上のお産に携わってきた助産師。産前・産後セミナー講師として5000人以上の方々へ講演。世界でも助産師のレベルが高いニュージーランドとオーストラリアでの2年の海外生活を経て、帰国後バースコンサルタントとして独立。現在は主に35歳以上の高齢出産の方々を妊娠期からサポートする活動に従事。
- サイト:バースコンサルタント:古市菜緒 (https://mosh.jp/birth-consultant/home)
- ブログ:バースコンサルタントCAFE (https://birth-consultant.com/)
『保有資格』
- 助産師
- 保健師
- 看護師
コメント
現在のマタニティウェアはデザインやサイズが豊富で、機能性に優れたものも多くみられるようになりました。
その中でも産前産後兼用のマタニティウェアは大変便利で重宝します。産前産後兼用とは、直接授乳できる授乳口が付いている服や、ウエストの調節が可能なアジャスターが付いている服などをいいます。
産後しばらくは体型や体重が戻らず、妊娠前の服を着ることができないこともあります。また母乳栄養の場合は、授乳ができる服装選びも大切になります。
産前産後兼用のマタニティウェアであれば、産後の服選びの煩わしさからも解消されます。
マタニティウェアを購入する際は、妊娠中だけではなく産後の生活もイメージされることも大切にしてください。